PEEK(ピーク)の加工費はなぜ高い?費用が上がる理由と抑える5つの方法

PEEK(ピーク)の加工費はなぜ高い?費用が上がる理由と抑える5つの方法

PEEKで見積もりを取ったら、思っていたより高かった…

PEEK(ピーク)の加工についてお問い合わせをいただく中で、こう感じる方は少なくありません…!

PEEKはスーパーエンプラの中でも高価な材料なので、どうしても材料費は高くなります。ただ、実際の加工品の価格は材料単価だけで決まるわけではありません。

材料をどう取るか、どんな形状にするか、どこまで厳しい公差を求めるか。

このあたりでも、見積もり金額はかなり変わってきます。

今回は、PEEK加工品の費用が高くなりやすい理由と、設計・発注の段階でできるコストの抑え方について、実際の加工事例を交えながら紹介します!

PEEKそのものの特徴についてはこちらをご覧ください!

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PEEKは、一般的な樹脂では耐えられないような熱や薬品、厳しい使用環境で選ばれることが多い材料です。

性能が高い反面、MCナイロンやPOMなどと比べると材料価格はかなり高くなります。

ただ、加工品の価格を見るときに材料費だけを見てしまうと、コストを下げられるポイントを見逃してしまうことに…

加工品の価格には材料費だけでなく、加工時間、段取り、治具、測定・検査なども含まれます。

たとえばPEEKを部品全体に使っている場合でも、実際に耐熱性や耐薬品性が必要なのは一部分だけかもしれません。

また、部品寸法を数mm変更するだけで、ひと回り小さい規格材料から取れることもあります。

公差についても同じで、すべての寸法を厳しくするのではなく、はめあいや位置決めなど、本当に必要な部分だけに絞れば加工や測定にかかる時間を減らせる場合があります。

PEEK加工のコストを考えるときは、「PEEKをどこに、どれだけ使うのか」まで考えることが重要!

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、耐熱性・耐薬品性・機械的強度に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。

半導体製造装置、自動車関連設備、理化学機器など、一般的な樹脂では対応しにくい環境で使用されています。

項目PEEKMCナイロンPOM
比重1.321.161.41
耐熱温度(連続使用)240℃120℃100℃
燃えやすさ難燃自己消火性燃えやすい
寸法安定性優れる普通普通
材料の価格非常に高い標準標準

数値は当社「取扱素材一覧」の値です。グレードによって異なります。

材料そのものが高い

まず大きいのが材料費です。

PEEKは一般的なエンプラと比べて材料単価が高く、炭素繊維入りのPEEK CF30やガラス繊維入りなどの特殊グレードになると、さらに価格が上がります。

特に大きな部品では、加工費より材料費の影響が大きくなることもあります。

そのため「完成品がこのサイズだから、このくらいの材料費だろう」と考えていると、実際の見積もりとの差が出やすくなることも…

材料の取り方によってムダが出る

ここは、図面だけでは少し分かりにくい部分。

樹脂材料には板厚、外径、幅などの規格があります。完成寸法が材料の規格より少し大きいだけでも、ひと回り大きな材料を使わなければならないことがあります。

たとえば、あと数mm小さければ一つ下の規格から取れるのに、その数mmのために大きな材料が必要になるケース。その場合、加工するとその余った部分は切粉として削り落とすことに…

POMやMCナイロンでも材料の取り方は重要ですが、高価なPEEKではこの差がより大きく価格に出ます…!

設計上変更できる寸法であれば、材料の規格に合わせるだけでコストを抑えられる場合があります。

薄肉や複雑な形状は加工時間が長くなる

PEEKで製作する絶縁体やノズルなどでは、薄肉や複雑な形状もよくあります。

こうした形状は、一気に削ればよいというものではありません。

薄い部分を強く削ると加工中にたわんだり、寸法が安定しなかったりするため、切り込み量を調整しながら何回かに分けて加工します。

深い溝や細いポケットなども同様で、細い工具を使って少しずつ削る必要があるため、単純な形状と比べて機械を動かす時間が長くなります。

材料費だけを見ると同じくらいの大きさでも、形状によって加工費が大きく変わるのはこのため!

多面加工は段取りが増える

正面だけでなく、側面や裏面などいろいろな方向から加工する部品では、加工する向きを変えるための段取りが必要になります。

一度機械から外して取り付け直す場合、そのたびに位置を出し直さなければなりません。

形状によっては専用治具を作ることもあります。

滝本技研工業では、オークマ製4軸NC旋盤やマシニングセンタなどを使い分け、できるだけ取り付け回数を減らせる加工方法を考えています!

単純に「削る時間」だけではなく、こうした段取りの時間も加工費に関係します。

厳しい公差が多いほど加工と検査に時間がかかる

PEEKは樹脂の中では寸法安定性に優れています。

とはいえ、金属部品と同じ感覚ですべての寸法に厳しい公差を入れると、加工条件を細かく調整する必要が出てくる上、加工後の測定回数も増えます。

特にはめあいや位置決めに関係しない部分まで±0.01mmなどの公差が入っていると、本来必要のない加工・検査工程が増えている可能性あり。

さらにPEEKは材料自体が高価…加工の最後で寸法を外してしまえば材料から作り直しになるため、加工側も慎重に進めます。

本当に精度が必要な部分と、普通公差で問題ない部分を分けることは、PEEKでは特に重要!

PEEKを使わなければならない部品でも、設計や発注方法によってコストを抑えられることがあります。

方法内容
PEEKを使う範囲を絞る熱や薬品に触れる部分だけPEEKにし、ベースや固定部はMCナイロンやPOMなどを検討する
材料の規格サイズに合わせる外径や板厚を材料の規格サイズに収まる寸法にする
公差を必要な箇所だけにするはめあいや位置決めに関わる寸法だけ厳しい公差にする
形状をシンプルにする深い溝や極端な薄肉を避け、加工や段取りの回数を減らす
数量をまとめる予備を含めてまとめて製作し、段取り費用を1個あたりで分ける

この中でも、まず確認したいのがPEEKを使う範囲と材料サイズです。

使用環境によっては、部品全体をPEEKにしなくても問題ないケースや、熱や薬品に触れる部分だけPEEKにして、ベース部分を別材料にする方法もあります。

また、丸物の場合は外径を研磨で仕上げた「センタレス材」を使えるケースもあります。外径を削る工程を減らせるため、細いシャフトやピンでは加工時間の短縮につながります。

PEEK・PTFEのセンタレス材についてはこちらもご覧ください!

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滝本技研工業でも、PEEKを使った産業用部品を製作しています。

実際の加工事例をいくつか紹介します!

東レ製PEEKを旋盤とフライスで加工

東レ製PEEK

自動車関連の産業用機械で使用するPEEK部品を、旋盤加工とフライス加工を組み合わせて製作しました。

取り付けや位置決めに時間のかかる形状だったため、NC旋盤とマシニングセンタの両方を使用し、それぞれ得意な工程を分担しています。

量産品では、加工方法だけでなく機械の稼働状況も見ながらシフトを組み替え、納期とコストのバランスを調整します。

電解液に触れるPEEK製絶縁体

PEEK製絶縁体部品

自動車関連設備で使用する絶縁体をPEEKで製作しました。

電解液に触れるため耐薬品性が必要で、さらに薄肉加工の多い部品です。

薄い部分は削る順番によっても仕上がりが変わるため、加工中にたわまないよう固定方法と加工順序を調整しています。

PEEKのような高価な材料では、材料が入ってくるまでの期間も納期に影響します。

当社では材料在庫を持っているため、メーカーからすぐに出荷できない時期でも、在庫しているサイズであれば対応できる場合があります。

チャッキング用のPEEK製ツメを3D加工

ワークをつかむためのツメをPEEKで製作した事例です。

金属製のツメではワークにキズが付いてしまうため、樹脂が採用されています。

ワーク形状に合わせた3D形状になっており、図面からCAD/CAMで3Dデータを作成し、マシニングセンタで加工しました。

こうした3D形状ではデータ作成にも時間がかかります。

3Dデータをお持ちの場合は、支給していただくことで加工までスムーズに進められることがあります。

PEEKは非常に優れた材料ですが、すべての部品に必要なわけではありません。

実際には「念のためPEEKにしている」というケースもあり、使用条件によっては、もう少し安価な材料で十分な場合あり!

PEEKが必要になりやすい条件当てはまらない場合の候補
120℃を超える温度で使い続けるMCナイロン(連続使用120℃)、PC(120℃)
強い薬品や電解液に触れる薬品の種類によってはPVC、PP、PTFE
高温でも強さと寸法の安定が必要温度が低ければPOMやユニレート
燃えにくさが求められる難燃PVC、自己消火性のMCナイロン・PCなど

※耐熱温度は当社「取扱素材一覧」の連続使用温度です。

もちろん、単純に「PEEKは高いから別の材料に変えればいい」というわけではありません。

温度、薬品、荷重、絶縁性など、実際に使う条件を確認したうえで材料を選ぶ必要があります。

使用条件を教えていただければ、PEEKのまま進めるべきか、ほかの材料を検討できるかも含めてご相談いただけます。

PEEK加工では、完成品の大きさが同じくらいでも、形状によって加工時間がかなり違います。

特に次のような形状は費用が上がりやすくなります。

費用が上がりやすい形状理由変更の例
部品全体をPEEKで一体にした大きなベース材料が大きくなり、削って捨てる量が多い薬品や熱に触れる部分だけPEEKにし、ほかはMCナイロンやアルミなどと組み合わせる
深くて細い溝やポケット細い刃物で少しずつ削る必要があり、時間がかかる溝を広げる、深さを浅くする、角にRを付ける
厚さ1mm以下の薄い壁削るときにたわみやすく、一度に大きく削れない機能に問題がなければ壁を厚くする、リブで補強する
6方向すべてに穴や加工がある取り付け直しが増え、治具が必要になることがある加工面を減らす、穴の向きをそろえる
全体に±0.01mmの公差加工条件の調整と測定に時間がかかるはめあい・位置決め部分だけに厳しい公差を入れる

もちろん、図面を見ただけで勝手に形状を変更することはできません。

「この寸法は何のために必要なのか」「この部分は相手部品と組み合わさるのか」などを確認しながら、機能を落とさず変更できる部分がないかを考えます。

特に量産を予定している部品では、1個あたり数分の加工時間の違いでも、数量が増えると大きな差になります。

試作段階からご相談いただければ、量産時の加工方法まで考えながら進めることもできます。

PEEK加工のお見積もりでは、図面だけでも確認できます。

ただ、使用条件が分かると、材料や公差について別の方法をご提案できる場合があります。

特に確認したいのは、PEEKを選んだ理由、使用温度、触れる薬品、厳しくしたい寸法、製作数量です!

PEEKを選んだ理由が耐熱なのか、耐薬品なのか、絶縁なのかが分かれば、ほかの材料を検討できる可能性もあります。

また、ナチュラル、炭素繊維入り、ガラス繊維入り、メーカー指定など、グレードの指定がある場合は見積もり時にお知らせください。

今後追加製作する可能性がある部品についても、予定数量が分かれば量産を想定した加工方法を検討しやすくなります。

PEEKの代わりに使える安い材料はありますか?

使用温度や薬品によっては、PPSや耐熱グレードのMCナイロンなどで対応できる場合があります。

ただし、耐熱温度だけで材料を置き換えることはできません。使用環境を確認したうえで、代替できる材料があればご提案します。

PEEKは1個からでも加工できますか?

1個から加工できます。

試作品から量産まで対応しています。量産を予定している場合は、最初に試作して形状や公差を確認しておくことで、量産時の作り直しリスクを減らせます。

炭素繊維入りのPEEKも加工できますか?

加工できます。

PEEK CF30(炭素繊維入り)を使用したスクリューボルトの製作実績もあります。

特殊グレードについては、材料の在庫状況や取り寄せにかかる期間も確認してお見積もりします。

見積もり金額を下げるなら、図面のどこを見直せばいいですか?

まず確認したいのは、PEEKを使っている範囲、材料の規格サイズに対する外形寸法、厳しい公差が入っている箇所です。

特に材料サイズが一段変わる境目にある寸法は、少し変更するだけで材料費が変わることがあります。

図面をお送りいただければ、加工する側から見て変更できそうな部分を確認します。

量産すると1個あたりの価格は下がりますか?

段取りや加工プログラム作成にかかる費用を数量で分けられるため、一般的には1個あたりの加工費は下がります。

ただし、PEEKは材料費が占める割合が大きい部品も多いため、数量を増やしても金属加工ほど大きく価格が下がらない場合があります。

PEEKの試作品を急ぎで作れますか?

形状と材料在庫によって変わります。

在庫している材料で対応でき、比較的シンプルな形状であれば早めに製作できる場合があります。

滝本技研工業では、年末年始・GW・お盆を除いて土日祝も工場を稼働しています。お急ぎの場合は、希望納期もあわせてご相談ください。

PEEKの材料だけ購入できますか?

在庫している材料であれば、必要な大きさに切断して販売することもできます。

サイズや数量によって在庫状況が異なるため、お問い合わせください。

PEEK加工品の価格が高くなるのは、単純に「PEEKという材料が高いから」だけではありません。

材料の取り方、加工する形状、段取り、公差、数量によっても価格は変わります。

特に高価なPEEKでは、完成品では削り落としてしまう部分にどれだけ材料を使うかも重要です。

数mmの寸法変更で材料の取り方が変わったり、必要な部分だけに厳しい公差を設定することで加工時間を減らせたりすることもあります。

逆に、使用環境によってはPEEKから別の材料へ変更できるケースもあります。

「PEEKで図面を作ったけれど、このまま製作すると高い…」

「機能は変えずに、もう少し加工費を抑えたい!」

こうした段階でも構いません。図面と使用条件を確認しながら、実際に加工する側から製作方法を一緒に考えます!