樹脂加工で寸法が出ない原因とは?図面通りなのにズレる理由と設計対策!

樹脂部品を加工したあと…

- 図面通りに作ったはずなのに寸法が合わない…
- 加工直後は問題ないのに、時間が経つと反ってくる…
- 組付けてみたら干渉して入らない…
といった経験はないでしょうか?
実はこれらのトラブルは、加工ミスというよりも、樹脂という材料特性を十分に考慮していない設計が原因で起きているケースが非常に多い…
本記事では、滝本技研工業が日々の加工現場やSNSで発信してきた実例をもとに、樹脂加工で寸法が出ない本当の理由と、設計段階でできる具体的な対策をわかりやすく解説します!
なぜ樹脂加工は「図面通り」でも寸法が合わないのか
金属と同じ感覚で設計すると起きるズレ
多くの寸法トラブルは、無意識のうちに金属加工と同じ感覚で樹脂を設計してしまうことから始まります!
金属部品であれば…
- 加工後に寸法が大きく変わることは少ない
- 温度や湿度の影響も限定的
- 公差を厳しくすれば、その通りに仕上がる
しかし樹脂は…
- 熱の影響を受けやすい
- 吸水や乾燥で寸法が変わる
- 加工時に内部応力が残りやすい
といった性質を持つため、同じ考え方を当てはめるとズレが発生するのです…!
樹脂は加工後も寸法が変化する材料
滝本技研工業のXでも繰り返し発信していますが、樹脂部品は…
- 加工直後は寸法が合っている
- 数時間〜数日後に反りやねじれが出る
というケースが珍しくありません!これは不良ではなく、加工によって蓄積された内部応力が時間をかけて解放される現象!
特に厚みのある形状や、片側だけを大きく削った部品では、この傾向が顕著に現れます。
樹脂部品の寸法がズレる主な原因
内部応力による反り・ねじれ
樹脂加工で最も多い寸法ズレの原因が、内部応力による変形です。
主な要因
- 荒加工と仕上げ加工のバランスが悪い
- 片面加工で応力が偏る
- 厚肉部と薄肉部が混在している
こうした条件が重なると、加工後しばらくしてから反りやねじれが発生します。図面通りに加工していても、応力の解放までは図面に表れないため、設計段階での配慮が欠かせません!
吸水・温度変化による寸法変動
MCナイロンをはじめとする一部の樹脂材料は、空気中の水分を吸収します。
主な要因
- 加工時は乾燥状態
- 使用環境では湿度が高い
といった場合、使用中に寸法が変化することがあります。また、測定時の室温や実際の使用温度が異なるだけでも、樹脂は金属以上に影響を受ける…!
加工方法・加工順序の影響
加工工程そのものが寸法ズレを生むこともあります。
主な要因
- 強く固定しすぎた治具による変形
- 手加工や磨きによる削りすぎ
- 最終工程での局所的な発熱
これらはすべて、寸法や形状に直接影響!
滝本技研のXでも、磨き作業によって寸法が変わったり、クラックの原因になる例を紹介しています。
ネジ・インサート部が引き起こす局所変形
図面上は問題なくても、「ネジを締めた瞬間に寸法が変わる」「組付け後にだけ干渉する」といったケースもよくあります。
これは、締結による局所的な応力集中や変形が原因!
特に樹脂部品では、ネジ周辺が変形しやすく、寸法安定性を損なう要因になります。
寸法が出ない原因は「加工」ではなく「設計」にあることが多い
公差設定が金属基準になっている
樹脂部品の図面を見ると、全体に厳しすぎる公差や機能と関係ない部分まで同じ公差、といったケースが少なくありません。
樹脂では、必要な箇所だけ公差を管理する設計が重要!
関連記事
樹脂加工で公差を厳しくしてはいけない理由|設計段階で知るべき5つの落とし穴
基準面・測定方法が曖昧

- どこを基準に測るのか
- 組付けた状態で見るのか、単体なのか
こうした情報が図面にないと、「加工側と設計側の認識ズレ」や「寸法が合っているのにNGになる」といった問題が起こります…
設計段階でできる寸法トラブル対策
材料特性を前提にした設計に切り替える
寸法安定性が重要な場合は、吸水の少ない材料を選ぶ、環境変化を考慮した寸法設計を行う、といった判断が必要です!
材料選定はコストや強度だけでなく、寸法安定性という観点でも検討すべきポイント!
公差は「必要なところだけ」厳しくする
- 機能に直結する部分
- 組付け精度に影響する部分
に絞って公差を設定することで、加工性と安定性が大きく向上します!
図面で必ず指定すべきポイント!
図面で必ず指定すべきポイント
- 基準面
- 使用環境(温度・湿度)
- 組付け条件
これらを明確にすることで、寸法トラブルの多くは未然に防げます!
よくあるトラブルと回避策
樹脂加工の公差はどれくらいが一般的?
材料や形状によって異なりますが、金属と同じ感覚で設定するとトラブルにつながりやすいため注意が必要です!
樹脂部品の公差設計についてはこちらをご覧ください!
加工後に寸法調整はできる?
可能なケースもありますが、応力解放による変形は後加工では完全に防げません…!
加工会社に任せれば寸法は安定する?
加工だけでなく、設計情報が重要!設計段階からの相談が効果的です!
滝本技研工業が考える「寸法トラブルを防ぐ樹脂加工」
滝本技研工業では…
- 設計段階での材料・公差相談
- 寸法変化を見越した加工工程設計
- 図面通りではなく「使える寸法」を重視
という考え方で樹脂加工に取り組んでいます!
寸法トラブルでお困りの際は、加工後ではなく設計段階での相談が、最も確実な解決策です!
まとめ|樹脂加工の寸法トラブルは設計段階で防げる
樹脂加工で寸法が出ない、時間が経つとズレるといったトラブルは、加工不良ではなく材料特性と設計条件のミスマッチが原因で起きていることがほとんどです。
特に重要なのは以下の3点です。
- 樹脂は加工後も応力解放・吸水・温度変化で寸法が変わる材料である
- 金属と同じ公差・設計思想をそのまま適用するとトラブルになりやすい
- 寸法安定性は「加工」よりも「設計段階」で8割決まる
寸法トラブルを防ぐには、加工完了後に調整するのではなく、材料選定・公差設定・図面指示を含めた設計での検討が不可欠です!
関連記事
樹脂加工の寸法設計入門|管理すべき寸法・緩めてよい寸法とは?
滝本技研工業の対応実績|お客様の課題と対応例
実際に滝本技研工業へ寄せられた「寸法」に関する代表的な課題と、その対応例をまとめました。
| お客様の課題 | 発生していた問題 | 滝本技研工業の対応例 | 改善結果 |
|---|---|---|---|
| 図面通りに加工したのに組付けできない | 組付け時に干渉が発生 | 組付け状態を前提に基準面・公差を再設計 | 組付け時の干渉を解消し再加工不要に |
| 加工後しばらくすると反りが出る | 内部応力による寸法変化 | 荒加工・仕上げ加工の工程見直し | 時間経過後も寸法が安定 |
| ネジ締結後に寸法が狂う | 締結部の局所変形 | ネジ構造と肉厚の再検討 | 締結後も寸法ズレなし |
| 公差を厳しく指定しているのに合わない | 金属基準の公差設定 | 機能部のみ公差を設定 | 加工性・寸法安定性を両立 |
| 使用環境で寸法が変わる | 吸水・温度影響 | 材料変更・設計条件見直し | 使用環境下でも安定使用 |
これらはすべて、加工だけで解決したのではなく、設計条件を含めて見直した結果です!
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滝本技研工業では、樹脂加工のプロとして、単に加工するだけでなく「製品が実際に使われる現場」を想定して、最適な補強方法をご提案しています。
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