図面通りなのにずれる?プラスチック部品の寸法公差と金属との違いを徹底解説!

図面通りなのにずれる?プラスチック部品の寸法公差と金属との違いを徹底解説! (1)

金属部品と比較して、プラスチック部品の寸法公差は一般的に「広め」に設定されています!これは、材料自体の性質(柔らかさ・熱膨張率・吸水性など)によって、寸法が安定しづらいため…!

たとえば、金属では±0.01mmという高精度な公差が一般的ですが、プラスチックでは±0.1mm、あるいはそれ以上が妥当とされることも珍しくない…

金属と同じ感覚でプラスチック部品を設計すると、量産時に不良品扱いとなるケースが発生するリスクがあります…!

樹脂加工において、「図面通りに作ったはずなのに実物は微妙にズレている」という声は少なくありません…これは単なる加工精度の問題ではなく、樹脂素材の特性によるもの

たとえば…

  • 吸水率が高いナイロン樹脂は、空気中の湿度でも寸法が変化する!
  • 熱可塑性樹脂は、冷却条件や放熱環境によって収縮率が変わる!
  • 充填剤入りの樹脂では、流動方向によって収縮が不均一になる!

このように、「材料×加工条件」の組み合わせによって寸法が左右されるため、公差設定が曖昧に見えるのです!

金属と樹脂では、そもそも加工や使用条件における「常識」が違うといえます!

金属加工では、工具と素材の温度差や応力は比較的コントロールしやすいため、寸法再現性が高いです。しかし樹脂加工では、「型から離れた後も動く」ことが前提です!

さらに、下記のような違いもあります!

観点金属樹脂
熱膨張係数小さい(寸法安定)大きい(寸法変化しやすい)
吸水による膨張ほぼなし材料によって大きい
応力緩和少ない時間と共に変形する
加工後の変化ほぼ固定時間経過・温湿度で変化

樹脂部品は「見えない力(内部応力)」によって変形することがあります。たとえば、マシニングで削り出した樹脂ブロックが、加工直後は寸法通りでも、数時間〜数日後に反ってしまうことも…

これは、加工中に内部に残った応力が時間と共に解放され、部品がわずかに変形してしまう現象(応力緩和)!こうした現象を防ぐには…

  • 残留応力の少ない材料を選ぶ
  • 焼きなまし処理で応力を除去する
  • 設計段階から「歪む前提」で寸法を見積もる

といった対策が有効!滝本技研工業では樹脂の特性を考慮した加工のご提案が可能です!

事例1:±0.01mmの公差で設計 → 実物がすべてNG品に

開発初期段階で金属部品と同じ公差で樹脂を設計。ところが、量産してみると寸法がばらつき、検査で不良品判定となってしまいました

解決策

プラスチック材料は、温度や湿度の変化、そして時間の経過によって物理的に寸法が動くという性質があります!

例えば…

  • 加工現場は25℃、使用環境が40℃ → 熱膨張で膨らむ
  • 高湿度環境で吸水 → 膨張や変形が起きる
  • 応力が残っていた → あとから歪みが発生

「0.01mmまで仕上げたのにズレる」のは、設計・検査・使用環境の全体を見ていないことが原因…!

事例2:図面通りに加工したのに、組立時に合わない

寸法公差はクリアしているのに、他部品との勘合で不具合が発生。原因を探ると、材料が水分を吸ってわずかに膨張していたことが判明

解決策

「加工品は図面通りなのに、組み立てたらズレていた」というトラブルも樹脂部品ではよくある話…

その原因として考えられるのは…

  • 複数部品の膨張率の違い
  • 組立中の応力集中
  • 一方の部品が変形しやすい素材

と、いったところ!とくに金属×樹脂の組み合わせでは、温度変化による寸法差が組立精度に大きく影響するため、相手材との相性まで踏まえた設計が必要です!

他にもよくある問題として下記のような内容が挙げられます。

よくある問題原因例滝本技研工業の対策
図面通りに加工しても、組立で干渉が出る成形収縮・乾燥による変形材料特性を把握し、ネライ寸法で微調整
公差通りなのにカタカタ音がする表面粗さや締結応力の集中によるノイズ締結設計まで考慮した提案
締め付けたら割れた公差の数値はOKでも、応力集中でクラックが発生応力除去加工・締結方法の改善を提案
他社で断られた or 納期が異常に長い難易度の高い樹脂+短納期+高精度の条件がネック材料選定・加工工程を最適化
寸法測定時に変化するPTFEなどの柔らかい素材、素手の影響など測定方法や取り扱い条件のご提案

素手で触るだけで寸法が変わる!?PTFEの実態!

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、非常に熱膨張係数が高く、寸法安定性が低い樹脂!そのため、素手で触れただけでも…

  • 体温でわずかに膨張
  • 外気と触れた面とで温度差が発生
  • その結果、寸法がミクロン単位で変化

といったことが起こる…!こうした材料を扱う場合は、触らずに測定する工夫や、使用環境と同条件で測定するなど、樹脂特有の取り扱いが必要です!

樹脂の公差で設計するときのポイント

樹脂の公差で設計するときのポイント

  • 金属のような「一律な公差設定」はNG
  • 素材ごとの収縮率・熱膨張率・変形傾向を理解する
  • 表面粗さや締結設計なども含めて精度検討する
  • 成形品のばらつき・加工残応力も予測する
  • 必要なら事前に試作・検証を行う

滝本技研工業は【樹脂加工の専門会社】として、以下の取り組みを行っています!

  • 素材の切断から歪・反りを抑える工夫!
  • 熱変形を防ぐ適切な切削速度・クーラントの選定!
  • 公差・バリ・応力など、図面に書かれていない「その先」を読む加工!
  • 公差や使い方に合わせた材料選定のご提案!
  • 検査時の計測方法・管理値まで柔軟に対応!

滝本技研工業の強み

  • 樹脂専業×実装ノウハウの両立!
  • ネジ・公差・組立など、全体最適視点での提案!
  • ヘリサート/エンザート加工品の短納期対応!
  • 滝本技研工業公式YouTubeやブログでもわかりやすく解説!

「なんとなくうまくいかない…」
「金属と同じ感覚で設計している…」

そんなときこそ、私たちにご相談ください!

プラスチック樹脂部品の加工や設計に関して、実際に多くのお客様から寄せられる悩みをもとに、滝本技研工業がどのように問題を解決してきたか、お問い合わせ〜解決までの流れをご紹介します!

お問い合わせ〜解決までのフロー

よくあるご相談内容
📌ヘリサートを使ったが、ネジが抜けてしまった…
📌金属の感覚でネジ締めしたら、モゲた…
📌タングレスヘリサートが高すぎる…代替案はない?
📌強度とコストのバランスをとった補強方法が知りたい
📌公差の指定が曖昧で、量産時にバラツキが出た

「他社で断られた」「納品されたものに満足できなかった」など、初歩的なお悩みからでOK!
お問い合わせ
まずはお気軽にお問い合わせフォームやお電話からご相談ください!

お伺いする内容例…
📌材料の種類(例:POM、PPS、PEEKなど)
📌使用目的と環境条件(温度、湿度、応力など)
📌問題の発生している製品図面(可能であれば)
📌想定ロットや量産スケジュール

お問い合わせは技術担当に直接つながるため、スムーズに内容が共有され、初回ヒアリングの段階で技術的アドバイスができることもあります!
図面・仕様の確認とヒアリング
実際の図面やCADデータをご提供いただき、当社にて以下の視点で確認いたします!

💡公差指定が適切か(射出成形との整合性)
💡ネジ挿入位置の肉厚や設計強度
💡ヘリサート or エンザート or 直接タップ、最適なネジ補強案
💡成形収縮や変形の可能性

また、用途やご希望のコスト感もお聞きし、量産に適した加工法や補強方法も合わせてご提案します!
最適な加工・構造提案
ご相談内容や現物、設計情報をもとに、具体的な改善提案を行います!

コスト重視なら→タングレスではなく通常のヘリサート+専用工具のまとめ買い提案
強度重視なら→エンザートの活用+圧入構造の見直し
・量産時の安定性なら→公差の見直し+成形品の取り数再設計

滝本技研工業の公式YouTube動画でも解説している「樹脂の公差設計」「ヘリサートの失敗原因」などの知見をベースに、製品仕様に最適な改善案を複数提示いたします!
試作・量産立ち上げサポート
提案内容にご納得いただけましたら

💡試作加工(1個〜10個など)
💡ヘリサート加工品の納入
💡公差管理が必要な樹脂部品の成形+加工

など、ご希望に応じたステップで対応いたします!
必要に応じて立ち会い確認や検査成績書の提出も対応可能!
納品後のフィードバック対応!
納品後も、「うまくはまらない」「抜ける」「ゆるい」などのフィードバックがあれば、成形・加工・組付け工程まで遡って原因を特定!

再提案や補正加工にも柔軟に対応いたします!

お問い合わせはこちらから!

樹脂の寸法公差は、金属とはまったく違う考え方が必要!

素材特性・使用環境・組み立て後の状態までを考えた加工こそが、「本当に使える部品」を生み出します!図面通りに削るだけでは足りない…それが、滝本技研工業が【樹脂専門】としてご提供できる価値です!

「こんな依頼でも大丈夫かな?」という内容でも、まずはお気軽にご相談ください!

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