樹脂加工で公差を厳しくしてはいけない理由|設計段階で知るべき5つの落とし穴


安全側を見て公差を厳しくしておこう…
金属部品では当たり前のこの判断が、樹脂加工では逆にトラブルを招くことがあります…!
実際、滝本技研工業でも…
- 図面通りに加工したのに組み付かない
- 試作は問題ないが量産で寸法が暴れる
- 公差を厳しくしたら見積が一気に高くなった
といった相談が数多く寄せられます。
本記事では、なぜ樹脂加工で公差を厳しくしてはいけないのかを、加工現場の実例を交えながら解説し、設計段階で押さえるべき考え方を整理します!
そもそも「公差を厳しくする」とは?
設計者がよく設定しがちな公差例

- ⌀20 ±0.01
- 板厚10 ±0.02
- 全長100 ±0.05
設計図面でよく見かけるのが、上記のような設定です。
金属加工では一般的な数値ですが、樹脂加工では過剰品質になるケースが少なくない…!
金属加工と樹脂加工の公差感覚の違い
金属
- 熱膨張が比較的小さい
- 吸水しない
- 内部応力が残りにくい
樹脂
- 温度・湿度の影響を強く受ける
- 加工後も寸法が変化する
- 材料ごとに挙動が大きく異なる
という前提があります。ここを無視して金属と同じ感覚で公差を詰めると、問題が発生する可能性大…!
樹脂加工で公差を厳しくしてはいけない理由
理由① 温度変化による寸法変動が大きい
樹脂は金属に比べて線膨張係数が大きく、加工時の発熱や使用環境の温度変化によって寸法が簡単に動きます!
例えば、POMやMCナイロンでは、数十ミクロン単位の公差を設定しても、室温変化だけで簡単に超えてしまうことも…
理由② 吸水・乾燥による寸法変化が避けられない
特にナイロン系材料は吸水性が高く、加工直後や出荷後、使用開始後で寸法が変わることがあります。
「加工直後は図面通りだが、数日後に測ると寸法が違う」という相談は非常に多い典型例!
理由③ 内部応力による加工後変形が発生する
切削加工では、材料内部に応力が残ります。公差を厳しくするほど…「仕上げ代が小さくなる」「加工工程が増える」となり、結果として、加工後の反り・ねじれが発生しやすくなります!
理由④ 加工条件の再現性に限界がある
樹脂加工は…
- 刃物の摩耗
- クーラント有無
- 段取り差
などの影響を受けやすく、μm単位の安定再現は困難…
公差を詰めすぎると、加工者の腕や設備差に結果が左右されやすくなります!
理由⑤ 検査コスト・加工コストが急激に上がる
厳しい公差を指定すると…加工時間・検査工数・不良率が上がってしまい、連鎖的に発生する可能性が…「寸法精度を上げたいだけなのに、コストが倍以上になった…」というケースもめずらしくありません…
公差を厳しくした場合/適切に設定した場合の比較
| 項目 | 公差を厳しく設定した場合 | 適切な公差を設定した場合 |
|---|---|---|
| 寸法安定性 | 温度・湿度変化で寸法が簡単に外れる | 環境変化を見込んだ安定設計が可能 |
| 試作段階 | 時間をかければ一応は寸法が出る | 試作段階から再現性が高い |
| 量産時 | ロットごとに寸法バラつきが発生 | ロット間でも寸法が安定しやすい |
| 加工コスト | 工数増・歩留まり低下で高騰 | 無駄な工数がなくコスト安定 |
| 検査工数 | 全数検査・高精度測定が必要 | 抜き取り検査が可能になる場合も |
| 組付け性 | 図面通りでも組付かないことがある | 相手部品との許容が取りやすい |
| トラブル発生率 | 再加工・再製作が頻発 | 初回から安定しやすい |
公差を厳しくすると実際に起きるトラブル例
トラブル一例
- 試作では問題ないが量産で寸法が安定しない
- 試作は時間をかけて1個ずつ仕上げられますが、量産では同じ精度を再現できないことも…
- 再加工・手直しが増えてコスト超過
- 一度仕上げた部品を再度削る、手仕上げするといった工程が発生し、想定外のコスト増に…!
- 図面通りなのに「組付かない」問題
- 単品では合格でも、相手部品との組付けで不具合が出るケースも多く見られます。
樹脂加工で適切な公差を設定する考え方
機能公差と一般公差を分けて考える
すべての寸法を厳しくするのではなく…
「機能に影響する寸法のみ厳しく、それ以外は一般公差」
という考え方が重要!
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樹脂加工の寸法設計入門|管理すべき寸法・緩めてよい寸法とは?
どうしても厳しい寸法が必要な場合の対処法
- 材料変更を検討する
- 加工方法を限定する
- 後加工前提で設計する
など、設計側での工夫が必要です!
材料選定で公差トラブルを減らす方法
POM、MCナイロン、PEEKなど、材料によって寸法安定性は大きく異なります!
寸法優先なのか、コスト優先なのかを明確にすることが重要!
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よくある質問(FAQ)
樹脂加工では公差はどの程度が一般的ですか?
一般的な切削加工では、材料や形状にもよりますが ±0.1〜±0.2mm程度 が基準になることが多いです。
±0.01mmなどの厳しい公差は、機能上どうしても必要な箇所に限定して設定するのが現実的です。
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図面通りなのにずれる?プラスチック部品の寸法公差と金属との違いを徹底解説!
金属部品と同じ公差を指定してはいけないのですか?
推奨されません!
樹脂は温度変化・吸水・内部応力の影響を受けやすく、金属と同じ公差感覚で設計すると、量産時の寸法不安定やコスト増につながる可能性があります…!
どうしても厳しい公差が必要な場合はどうすればいいですか?
以下のような対策を検討します。
- 寸法安定性の高い材料への変更
- 加工工程を限定・固定する
- 後加工(仕上げ加工)前提の設計にする
滝本技研工業に事前に相談していただければ、実現する可能性を高められます!
公差を緩めると品質が下がりませんか?
必ずしも下がりません!
樹脂加工では、必要な機能寸法だけを管理する設計の方が、結果として品質・再現性が安定するケースが多くあります。
図面を出す前に相談するメリットは何ですか?
公差設定や材料選定を事前にすり合わせることで…
- 過剰品質によるコスト増
- 再設計・再加工の手戻り
- 納期遅延
を防ぐことができます!
まとめ|樹脂加工は「公差を緩める設計」が品質を安定させる
樹脂加工では、公差を厳しくすることが必ずしも品質向上につながるわけではありません!
材料特性と加工現実を理解し、本当に必要な寸法だけに公差を与える設計こそが、品質・コスト・納期を安定させる近道!
お問い合わせ・ご相談の流れ
滝本技研工業では、樹脂加工のプロとして、単に加工するだけでなく「製品が実際に使われる現場」を想定して、最適な補強方法をご提案しています。
トラブルを防ぐために、図面提出時(温度・湿度などの使用環境、組付け条件、本当に重要な寸法など)のご協力をよろしくお願いいたします。
また、寸法や公差設定で迷った場合や、過剰な公差指定や不要なコスト、後戻り設計を防ぐためにも設計段階での事前相談が最も効果的です!
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